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設定:犯人は「TL反応リプがうざくてやった。イライラしていた。」と自供している。
   警察は直ちにアンフォロ、TL反応を削除するよう呼びかけている。


落ちなかった





「痛ッ…」


先日のミッションで擦りむいた膝がまだ治らない。
そこにペンを取り落としてしまい、鋭い痛みが走った。
もう、と悪態をついて床に転がったペンを拾い上げる。
顔を上げるとそれがいた。


「おい、大丈夫か。痛いって、怪我でもしたのか」


使命感なのかなんなのか、耳ざとく聞きつけては現れるそいつが顔をゆがめていた。
“大丈夫ですから”と笑顔でつぶやくと、納得したのかしないのか
おかしな丸い眼鏡の奥で少し複雑な表情を作って立ち去った。
いなくなったことを確認してから軽くため息をついた。


この仕事には怪我が付きものである。
盛大に肋骨の骨を折り、包帯をぐるぐる巻きにされた。
職種上、どんな怪我も驚くべき速度で治る。
そうでないと仕事に差し障るから。


ただ、最初はむろん痛い。
息をするだけでむせ返り、またそれが痛みの発作を巻き起こす。
いやになる。


みながそんな痛い思いをしている。
毎日痛い思いをしている。
解っていても愚痴がぽろりと漏れてしまう。
“痛い”“本当にやだ”“疲れた”


それをまた聞きつける。
解ったふりをして。
「大丈夫か、なぁ、撫でてやろうか。俺医者だし、撫でたら治るかもよ」
茶化すように、笑いながら手を伸ばしてくる。
思わずそれをはねのけた。


「解ったふりをしないでください。」
「優しいふりをしないでください。」
「何が医者ですか。」
「あなたはもう医者じゃないでしょう。」
「あなたは今日も怪我をしていないんですね。」
「元気なんですね。」
「馬鹿にでもしているんですか。」
「もうやめてください。」


大声を出したことに抗議を上げられてまたむせ返る。
そしてそれが痛みを生む。
また手を伸ばされる。
それをはねのける。
………………。


「…悪かった」


それでも笑顔で後ろを向いて去って行った。
いつも医務室に居座っているくせに、怪我が治る頃になっても現れなかった。
痛いと言っても顔を見せなかった。


後で聞いた。
“大丈夫か”と心配しながら、自身も足を少し引きずる姿を見たことがある、と。
そんなことは知るか。
誰もがそうなのだから。
誰もが痛いのだから。


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